弁護士・高森滝子(菊川怜)にある日、一()つの弁護依頼が舞い込んでくる…。
保険会社勧誘員、須村さと子(石田ひ()かり)が無職の夫・要吉(渋川清彦)の殺害容疑で逮捕さ()れた。事件の夜、酒癖の悪い要吉が酔っ払って、妻のさと子に殴る蹴るの()暴行を()働いた。さと子は、()家庭内暴力、いわゆるDVから、一人息子のタカシ(鴇田蒼太郎)を守るため、止む無く夫殺害()に至ったと言うのだ。
容疑者がDV被害者の妻で、無職の夫がヒモ状態であっ()たことから、女性の()人権()に関()わる注目の事()件となった。さと子を擁護している婦人団体からの()弁護依頼は、滝子にとって名誉を勝ち取る大()きなチャンスでもあった。「正当防衛は無理かもしれないが、情状酌量狙いで執行猶予が()ついたら()弁護士として勝ったも同然」()だと話す、()法律事務所所長・栗原英彦(寺田農)の後押しもあり()、滝子はさと子の弁護を引()き受けることにする。
滝子は、正当防衛を主張し、無罪を勝ち取ろ()うと強()く言うが、一方のさと子は、素直に夫殺害の罪を認め、罰を受ける覚悟をしており、息子のタカシのことだけを心配()している様子だ。しか()し、要吉には浮気相手がいたということが新たな事実として分かる。バー“ミモザ”の()ママ()・脇田静代(雛形あきこ)はさと子の高校の一年先輩で、要吉と男女の関係にあり、()怪しげな存在だ。
そし()て始まった裁判。さと子の正当防衛を主()張し、無罪を求める弁護人の滝()子と、あくまで殺()意があったと主張す()る検察の意見が真っ向からぶつかる。
迎えた判決日。裁判長が重い口を開く…。「主文、被告人を懲役三年に処する。ただし、この裁判が確定した日から二年間、その刑の執行を猶予する」。さと子の目から涙がこぼれる。事実上の勝利を得た裁判だったが、まだ正当防衛()で無罪を主張し控訴することもできる、という滝子に、さと子は“裁判は一事不再理ですよね”と問う。そして、()「タカシのこ()とを考えると、()これ以上()、裁判を続けるのは辛い。もう人目にさらされたくない」()と控()訴()し()ないこと()を決意()する。世間から注目され敏腕弁護士の名をほしいままにした滝()子には、参議院選挙への出馬打診の話まで舞い込み、政界進出の目も。これで()すべてが終わったと誰もが思った…。
しかしある日、()滝子の自宅()に鳴り響いた一本の電話。それは誰もが予想し得ない、おぞまし()い悲劇の始まりを告げる電話だった…。