物語は閑静な住宅街にあ()る赤い屋根の家から始まる。18年前、この家で両親を殺害し遺体()を切り刻ん()だのは、実の娘の青田彩也子と、その恋人・大渕秀行だった。大渕は裁判中に「早()すぎた自叙伝」を出()版し、過去に女子児童を手に掛()けたことを告白する。裁判では彼に洗脳された彩也子が凶行に及んだとされ、主犯の大渕は死()刑、彩也子は無期懲役が確()定。それから数年後、「早すぎた自叙伝」を担当した編集者・()橋本涼のも()とに()、新人作家の小椋沙奈が、事件をモチーフにした小説の企画を持ち込む。小説の連載を()実()現すべく、大渕と獄中結婚した大渕礼子や()、大渕()のかつての愛人である元敏腕編集者・市川聖子ら関係者への取()材を進める橋本と沙奈。しかし2人はやがて、関係者が抱える嫉妬や()劣等感などの黒い感情に引きずり込まれていく。